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Sリーグ第2戦26-27 Part 1

PLAYERS : MASAKI HARADA

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原田 正規
MASAKI HARADA

 

Sリーグ第2戦26-27
Part 1

 

茨城・河原子で行われたSリーグ26-27開幕戦から1か月。続くマスターズプロ第2戦の開催地は、北海道・浜厚真。千葉で調整を重ねてきた原田は、現地へ向かった。

 

文:髙橋 淳
写真:飯田 健二

浜厚真に台風13号のうねりがヒット

 

原田が北海道に入ったのは、大会開始を2日後にひかえた8月5日。昼前に浜厚真に到着すると、うねりが強く、クローズアウト※1していた。日本の南海上を、大型でひじょうに強い台風13号が西へ進んでいる。その進路から、サイズダウンが見込まれるものの、大会期間中も十分な南うねりが続くだろう。初日の7日までに、波はどこまで落ち着くのか。海の変化が気になる状況だった。

 

浜厚真は北海道を代表するサーフポイントのひとつ。太平洋に面した広い砂浜は遠浅で、南寄りのうねりに反応しやすい。小波のときは幅広いレベルのサーファーが楽しめるが、サイズが上がると沖から力強い波がブレイクする。札幌や新千歳空港からもアクセスしやすく、道内外から多くのサーファーが訪れる。

 

そして、浜厚真を有する厚真町は、サーフィンを地域づくりに生かそうと取り組んでいる。町をあげての人材育成に加え、全国規模の大会の企画・運営も支援。昨年のSリーグ開催に続き、今年は7月31日から8月2日にNSA(日本サーフィン連盟)の厚真町長杯+MeetUp ATSUMA、翌週には今回のSリーグと、2週続けて日本各地の選手を迎えた。また今大会に合わせ浜厚真ビーチサイドフェスタ2026も開催され、音楽ライブやサーフィン体験会、飲食の出店など、競技を観る人も楽しめる場が設けられた。

 

 

※1 波のサイズが大きすぎる、風が強すぎるなど、サーフィンに適さない危険なコンディション。

浜厚真の全景。道内屈指のサーフポイントは、パワフルな波で出迎えてくれた

大きなステージが組まれ、イベントは準備万端。バックボードの写真のようなスペシャルな波も期待できる予報だった

海辺にはたくさんの鹿が生息している。こんな出会いにも、北海道の自然の豊かさを感じる

北海道の大自然を体感

 

翌6日。早朝に会場へ。前日よりは多少落ち着いているものの、波はまだ大きすぎて整っていない。海を見て、午後にはコンディションが上向くと判断した原田は、土地のリズムに身を委ねようと車を走らせた。

 

最初に目指したのは、支笏湖の西側にある美笛の滝。約50メートルの高さから、階段状の岩肌を水が流れ落ちている。その姿を間近で見ようと車を降りた。

 

「うわっ」

 

美しい景色を楽しむ間もなく、大量の羽虫にまとわりつかれた。とても立っていられない。すぐさま車内に戻り、支笏湖へ。湖畔に立つと、澄んだ水を通して湖底までくっきりと見える。岸辺の淡い水色は、沖へと目を移すにつれて深い青へと変わっていく。羽虫の手荒い歓迎も、目を奪う湖の美しさも、北海道ならではの大自然。その懐の深さに触れ、原田は浜厚真へと戻った。

早朝の波チェック。北海道では、空までも広く感じられる

支笏湖を眺める。荒れた太平洋とは打って変わって、穏やかな湖面と澄んだ水に心を奪われる

そして海へ。波は朝よりも落ち着き、楽しめる状況になっていた

ウォーミングアップを重ねる原田。パワフルな波に太いトラックを刻む

濃霧による長いウェイティング

 

7日、いよいよ大会が始まった。波のサイズは頭ほど。風は海から斜めに吹き込むサイドオンショアだが、弱いため、海面への影響は少ない。条件は悪くないが、ダンパー※2も多く、ロングライドできる波は限られていた。

 

6時30分に最初のヒートが始まったものの、またしても北海道の自然の脅威を思い知らされることになる。約9時間も濃霧に足止めされたのだ。夏の北海道の太平洋沿岸では、暖かく湿った空気が冷たい海面で冷やされ、海霧が発生しやすい。この日も沖の見通しがしだいに悪くなり、7つ目のヒートを終える前にストップ。空が明るくなることはあっても、海を覆う霧はなかなか消えなかった。

 

波は午後にかけて整ってきていたが、試合を進められないまま時間だけが過ぎていく。再開できたのは、16時30分をまわってからだった。途中で止まっていたヒートを終え、初日の競技はそこまで。原田の出番も翌日以降におあずけとなった。

 

 

※2 いっきに崩れる波のこと。乗れるセクションが少なく、基本的にはサーフィンに適さない。

会場は白い霧に包まれた。濃霧によるこれほど長い待機は日本のプロツアーが始まって以来初めてのことだという

ときおり晴れ間がのぞくものの、長くは続かない。再開を待つうちに、もどかしさが募った

選手としてチェックインをすませる。出番に向けて、気持ちが切り替わる瞬間

またしても立ちはだかる濃霧

 

翌8日も朝から霧が立ち込めていた。選手は5時30分に集合したが、沖からは優先権を示すプライオリティ※3パネルさえ見えない。6時に始める予定だった試合は、視界の回復を待つことになった。このままでは、予備日を使うことになるかもしれない。選手たちは、宿の延泊や帰りのチケット変更の心配をしはじめていた。

 

7時25分、ようやくスタート。しかし、ひとつのヒートを終えると霧が濃くなり、ふたたび足止めされた。競技が動き出したのは8時35分。前日からの遅れを取り戻すため、ふたつのエリアで同時に試合を行う「ダブルバンク」を採用。ジャッジ席の前をニュートラルエリアとし、左右にA、Bの各バンクを設けてヒートを進めた。

 

 

※3 ヒート中、それぞれの選手に順番に与えられる優先権。ヒート開始直後のプライオリティ(優先権)が誰にもない状態で、最初に波に乗ったサーファーからプライオリティの順位がいちばん低くなる。その後、次のサーファーが乗るとプライオリティの順位が繰り上がっていく。

テントから海を見つめる。気持ちのピークをどこに持っていけばいいのか、悩ましい

強い風に煽られながらも、波はパワフルにブレイクしていた

攻めのサーフィンで快勝

 

霧の次は、風だった。朝はほとんどなかった風が時間とともに強まり、午後には強いサイドオフショア※4に。波は胸〜肩、セットで頭ほど。海面はざわついているが、うまく波を選べばアクションを連発できる。ところが14時過ぎ、突風によって競技は再度中断となった。15時30分には始まるかと思われたが、またも待機。原田のヒートは、予定されていたBバンクからAバンクへ変更され、ようやく出番が来たのは15時55分だった。

 

対戦相手は比嘉力夫、澤井 革、水元公志。最初に波をつかんだのは原田だ。きわどいレイトテイクオフを決めたものの、その先が続かず0.43※5。攻める姿勢を見せ、対戦相手に点数以上のプレッシャーをかけた。水元がバックサイドで乗りつなぐが、2.30にとどまった。見た目にはよさそうでも、得点を伸ばせる波は意外に少ない。

 

原田は短いライディングで2.63を出すと、続いてインサイドで波をつかむ。鋭いバックサイドのオフザリップを決め、4.67。次々と波に乗り、トップに立った。比嘉、水元、澤井も波をつかむが、風にあおられロースコア止まり。

 

残り10分、またしても原田が乗る。風に苦戦しながらも大きなカットバックを入れ、インサイドまで乗りつないだ。スコアは6.00。ベスト2本の合計を10.67とし、リードを広げる。水元がフロントサイドのライディングで4.07を出し、合計7.07で2位につけた。

 

残り5分。原田はトップをキープしている。澤井はセットをつかむものの、得点を伸ばせない。波のサイズも本数も十分にある。前戦の河原子では、逆転に必要な1本を待ちながら時間が尽きた。今回は積極的に波に乗り、試合を優位に進めている。残り3分を切ってから、原田はさらに波をつかみ、3.07をスコア。ベスト2本の入れ替えにはならなかったが、最後まで乗り続けた。終了間際に比嘉がテイクオフするも、原田の首位は揺るがない。そのままヒートを終え、まずは1勝を挙げた。

 

次のヒートは翌日。この日の競技はもう終わりだが、海から上がった原田の興奮は収まらない。

 

「おれ、今このままもう1ヒート行けるよ!」●

 

 

※4 岸から海に向かって斜めに吹く風。強いと海面がざわつき、ベストな条件ではない。
※5 ライディング1本の最高得点は10点。Sリーグの大会ではヒート中のベスト2スコアの合計点で勝敗が決まる。

ヒート直前。刻一刻と変化する自然に合わせながら、集中力を高める

次々と波に乗り、ヒートをリード。原田のサーフィンは、パワフルな浜厚真の波にマッチしていた

POSTED : 2026-09-16