

PLAYERS : EMA KAWAKAMI
河上 恵蒔
EMA KAWAKAMI
十一歳の夏
Part 3
Xゲームズで金メダルを獲得したあとも、自分のスケートボードを日々追求するエマ。格好いいと思う滑り、新たな夢、学校や友だち、弟・ヒイロのこと。父・竜平、ヒイロも交えた会話から垣間見えた、世界の舞台で活躍する十一歳の素顔。
文:髙橋 淳(@thinkwastyle)
写真(クレジットがあるものは除く):髙橋大介(@daisuketakahashi)
SOUND OF SUNRISE(以下、SOS):エマくんに質問です。コンテストで得点が出る滑りと自分が格好いいと思う滑りは同じですか? それとも違ったりしますか?
エマ(以下、E):今自分がやってるルーティンは「格好いい」と「点数が出る」が重なってるみたいな感じで。だから自分からすると、ほとんど一緒ですね。格好よくて、点数も出るみたいな。
SOS:最高ですね。
E:うん、最高。
SOS:あまり点数にはならないけど、自分のなかで超格好いいというトリックもありますか?
E:それもあります。たとえば、グラインド系※1ですけど、フェイキー※2から入って、キャバレリアル・ディザスター※3してからのリバートアウト※4とか。あとは昔ショーン・ホワイトがやってたステイルフィッシュグラブ※5のロデオ※6とか、そういうのが格好いいです。
SOS:エマくんが格好いいと思うトリックの基準は? どんな部分を見て格好いいと思うんですか?
E:まず、やってる人が少ないっていうこと。あとは、スケボーをやったことない人からするとあまりダイナミックに見えないけど、スケーターの人にしかわからないヤバさがあるトリックが格好いいと思います。
※1 ウィール(車輪)を支える金属部品(トラック)をランプの縁やレールなどにかけて滑らせるトリックの総称。
※2 通常の足の構えのまま、逆向きに滑ること。
※3 通常とは逆向きに滑って踏み切り、体とボードを一緒にお腹側へ360度回転させ、ランプの縁にボードの中央部分をかけるトリック。
※4 技を決めたあと、ウィールを滑らせてボードを半回転させ、滑り降りること。
※5 空中で後ろ側の手を後ろ足の背後にまわし、ボードのかかと側をつかむトリック。
※6 空中で体とボードを一緒に背中側へ1回転半させるトリック。野球のバッティングのように、体を中心にボードを振りまわす。

写真:ペドロ・ゴメス(@pedrogomesphotography)
SOS:エマくんがコンテストに出始めて3年。最初に会ったころは、これから初めてコンテストに出るというときで、Xゲームズに出るのが夢だと話していました。2024年にその夢を叶えて、今年は金メダルの夢も叶えました。次の夢は?
E:Xゲームズで絶対王者みたいな感じで何回も1位をとるっていうのと、あとは自分にしかできないトリックをやることです。
SOS:3年後にはどんなスケーターになっていたいですか?
E:Xゲームズで、ベストトリックとラン、どっちも1位をとって、自分にしかできないトリックをメイクして、その技に自分の名前をつけるみたいな、そういうスケーターになりたいです。
SOS:すでにイメージしている、まだ誰もやってなくて、自分にしかできないだろうと思うトリックはありますか?
E:あります。
SOS:それはまだ秘密?
E:うん、まだ秘密です。

写真:ペドロ・ゴメス
SOS:今回のXゲームズで、いちばんうれしかったことはなんですか?
E:金メダル獲れたのもうれしいんですけど、半年間ずっと練習してきたことをあそこで決められたっていうのがいちばんうれしくて。あと、日本の大会で金メダルを獲れたっていうこともうれしかったです。
SOS:金メダルを獲ったあと、まわりの反応でうれしかったことは?
E:ジースケートパークにいる子たちに、僕がずっと練習してきたやつを「1位をとるくらいすごいトリックだったんやな」って思ってもらえたこと。
SOS:竜平さんから見て、金メダルを獲ったあとのエマくんに変化はありますか?
竜平(以下、R):本人はあまり変わった様子もなく、マイペースな感じですね。エマが「ぜったい金メダルを獲りたい」と思いはじめたのはちょうど1年前ぐらい。そこからずっと練習してきたんですけど、獲ったあともすぐに来年に向けて練習してるので。
SOS:まだまだやりたいことがあるんですね。
R:そうですね。もともとXゲームズに出ること、金メダル獲得が大きな夢だったんですけど、最強のルーティン、最高のルーティンをつくるっていうこともずっと考えてきたので。今もその目標に向かってがんばってるところですね。

写真:ペドロ・ゴメス
SOS:エマくん、金メダルを獲ったあと、小学校での反応を教えてください。
E:学校に行ったら、いろんな子から「テレビ出てたよな」とか言われたりします。
SOS:なんかうれしいですね。
E:うん、うれしい。
SOS:同じ小学生で、世界を舞台に活躍しているDJ RINOKA(以下、RINOKA)ちゃんとも仲よしですよね。どんな話をするんですか?
E:僕はスケボーの競技に出てて、バートの上に立ってお客さんを見てきてるんですけど、RINOKAちゃんはDJでステージに立ってるから「そこってどういう景色なん?」とか。RINOKAちゃんからは「競技のときに見るお客さんってどんな感じなん?」とか。あとは「学校で友だちとどんな話する?」とか、そういう話をしたりします。

写真提供:DJ RINOKA
E:おたがいジャンルが違うからおもしろい。小学生でそんな景色をそれぞれ見てるなんてなかなかないと思うから。さっきの学校の話は、ふだんずっと大人とか年上の子とかとおるから、「同い年の子とどんな話する?」みたいな感じ。
SOS:RINOKAちゃんと話すと、少しホッとする部分がありそうですね。
E:そう。
SOS:竜平さんは、RINOKAちゃんを見てどう感じますか?
R:本当に感心しますね。あの年齢で、すごくたくさんの人たちの前で、ましてや海外に行ってDJとしてプレイしてお客さんを沸かすっていうのは本当にすごいなと思って。なんか芸能人みたいな感じで、いつもちょっと緊張しますね。小学生なのに。
SOS:エマくんだって、まったく同じようにすごいですよね。ふたりが最初に出会ったのは?
E:イタリアにギネス記録の挑戦に行ったんですけど、そのときに街中をふらふら歩いてて、観光みたいな感じで。そしたら、RINOKAちゃんもDJのギネス記録に挑戦しに来てて。たまたま街中で会って「日本人ですよね。今回ギネスとりにきたんですか?」みたいな感じで、そこから仲よくなった。

写真:河上竜平
SOS:弟のヒイロくんとも、一緒に遊んだりスケボーをしたり、すごく仲がいいですよね。ヒイロくんからはどんな影響を受けていますか?
E:ヒイロのほうがスタイルがあるし、僕よりランプがうまい。それで「おれももうちょっとこうしよう」って、見習おうとすることもあります。

SOS:竜平さんは、ふたりと接するうえで意識していることはありますか?
R:エマが海外に行くときは僕がついていくので、そういうときはヒイロのことを見てあげられなかったりもするんですけど、「兄弟平等に」と思っています。ヒイロはエマ以上に自由にスケートする感じで、自分がやりたいことがはっきりしてて、たくさんある。それを尊重して、スケボーをさせるようにしてます。
SOS:ふたりがケンカすることもありますか?
R:もうしょっちゅうです。毎日ですね。だいたいエマがちょっかい出してます。
SOS:ヒイロくんは、お兄ちゃんのどういうとこがすごいと思いますか?
ヒイロ(以下、H):X(ゲームズ)で、1位とったりするとこがすごい。
E:(笑)
SOS:逆に、ここはお兄ちゃんに負けないと思うところは?
E:ランプちゃうん。
H:ランプとか。
E:スタイルじゃない?
H:うん、スタイルとか、あと(セクションの)使いこなしとか。
E:ファッションとか?
H:うん。

写真:河上竜平
SOS:ヒイロくんからエマくんに、伝えたいひと言をお願いします。
H:X出てすごい。
SOS:最後に、お兄ちゃんからヒイロくんにひと言。
E:ランプとか、今言った使いこなしとかが自分よりうまいから、ランプだけじゃなくて、もっとバーチもちゃんとやって、それでバーチうまくなって、一緒にXゲームズ出よう。
H:うん。●

POSTED : 2026-09-28